蘭州ラーメン

出先での仕事がずれ込み、夜遅くなってから
深センに戻ってきました。
お腹が空いたけど、もうスーパーもやっていないし
うちの近所のお店も閉まっているし
どうしようかなーと考えあぐねていると、
バスターミナルの片隅に明かりを灯しているラーメン屋さんがあるではないですか。

ラーメン屋と言っても日本の醤油ラーメンとか
豚骨ラーメンなどではありません。
中国北西部、甘粛省の省都、蘭州市が発祥の
蘭州ラーメンです。

この地方、イスラム教徒が多く、蘭州ラーメン店の店員さんは
ほとんどイスラム教徒。
ラーメンは中央アジア地方の味がします。


バスターミナルに入っているくらいだから
あまり美味しくなくて、ちょっと高めかもなー、と思いながらも入店。
もうお客さんは誰もおらず、閉店間際のようでしたが
お店に入ると、にこやかに「いらっしゃいませ!」と
メニューを持って来てくれました。


店内の様子



メニュー一覧。
麺が中心の品揃え。



壁一面にも大きく写真つきのメニューが貼られています。



反対側の壁にも大きなメニューが。
蘭州ラーメン店は大抵どこもこんなふうに巨大メニューが
壁を飾っています。


さて、今夜は何を食べようか。
もう深センはすっかり夏入りしており、
熱いラーメンよりは冷たい麺が美味しい季節。
「羊肉涼麺」というメニューがあったので、それを注文しました。

この涼麺というのはそこらへんでよく売られているのですが、
全然冷たくありません。
日本の冷やし中華やお素麺のように、氷や冷水で冷やすということは全くせず、
ゆがいた熱々麺にそのままゴマダレが和えてある、
あるいはほんの一瞬だけ水にさらし少しぬるくしてあるだけという、
どこが涼しいんじゃい、と突っ込みを入れたくなるメニューです。
それでも、中国人の皆さんからしたら熱いスープに入ってない、
熱々じゃないということで、冷たい麺という認識らしいです。
中国ではお腹を冷やすような冷たいものは体に悪いということで避けます。
氷なんかで冷やした食べ物などは有り得ないんでしょう。
だから、ちょっとぬるいのは、冷たい麺となるようです。
(中国の東北地方、黒龍江省には本当に冷たい麺があるらしいです。
一度食べに行きたいと思います)

注文を済ませ、早く来ないかなーとふと厨房の方に目をやると
コックのおじさんがおもむろに麺を打っているではないですか。
打ち立ての麺、いやー、それはそれで嬉しいんですが、
今は既に夜の10時半なんですが。。早く食べたい。。


ちょっと分かりにくいんですが、奥にある小さな窓から
麺を打っている手が見えています。
バンバン打ったり伸ばしたり手馴れたものです。


店内を改めてぼーっと見渡してみると
こじんまりとしたお店で掃除は行き届いており清潔。
天井にある扇風機がカラカラと回っており、
何ともノスタルジックな雰囲気です。
時間がのんびり流れているんですね。
きっと彼ら/彼女らの故郷もそうなんでしょう。
回教徒の多い中国北西部は文化的にも日本と大きく異なり、
私がいる広東省よりも更に異国情緒を感じます。
中国にささやかに吹く中央アジアの風といったところでしょうか。
なぜか私はそのお店の雰囲気がすっかり気に入りました。


暫くすると、お待ちかねの涼麺が運ばれてきました!


とっても美味しそうです。
野菜もたっぷり、きれいに盛り付けてくれてます。
スープも付いてます。

細かい千切りになっているキュウリや人参、
さっきおじさんがトントンやってました。
何となく手を合わせて「いただきます」と
自然にしてしまうほど(中国ではいつもほとんどしてません)
家庭的なのです。

これもぬるいんだろうなーと口に入れると、
おお。ほのかに冷たいではないですか。
嬉しい!
キンキンとまではいきませんが、全くぬるくありません。
冷たい、と感じさせるぐらいです。

タレは日本の冷やし中華と少し似ていて
醤油ベースに少しだけ酸味があり、
あとはニンニクが効いてるような風味です。

麺は細麺で千切り野菜とタレがよくからみ、
するりと口の中に入ります。
私は普段蕎麦など麺類をすするのがあまり得意ではないんですが
ここの細麺はするすると口に入っていきます。
(まあ余程お腹が空いていたということもあると思いますが)

お皿いっぱいに盛られていた麺をほんの8分ほどで完食。
しかも、まだ足りない。
(本当に相当空腹だったようです・・・。)

お店の人に、足りないからもっと何か食べたい、と言ったら
ちょっと目を丸くしながらも「チャーハンはどう?」とのこと。
さすがに山盛りチャーハンは重いし、また麺もちょっと飽きます。
パンはないの?と聞いたら「ない」(当たり前ですね)
何か軽いものがいい、パンがいい、とごねていたら
ちょっと待ってて、と厨房に入っていきました。
暫くして持ってきてくれたのが、日本語でなんと言うんでしょうか、
パンのようなものです・・・。


中国語では「葱油餅」と書きます。
(中国ではこの「餅」という漢字は、クッキーやインドのナンなど
小麦粉を使ったちょっと薄めのパン、お菓子類に
よく使われているようです。)

食べてみると表面はサクッとしており、
(薄いけども3層ぐらいになってます)
中はもっちりと歯ごたえがあり、
程よい塩味と、葱と油の香ばしい焼き立ての香りが美味です。
ビールのおつまみにも合いそう。

閉店間際だと言うのに、私の我侭を聞いてくれ
(この葱油餅、もう残ってなかったのですが
私がパンを食べたいというので、
わざわざ小麦粉から作ってくれたそうです)
本当に親切なお店です。

コーラと共にそちらも完食。
すっかりお腹も心も満たされました。

ふらりと入ったこのお店、何だか気に入ってしまったので、また行こうと思います。


※この日の夕食は
冷やし中華と葱油餅とコーラ、しめて17元。
安いですね。
しかも最初、お店の人はお勘定を間違えて安く請求してきました・・・。